SPI REPORT

研究論文紹介:『媒体態度が広告への態度に及ぼす影響』

ブログ、ワンセグ、SNSなど次々と登場するニューメディアと、地上デジタル放送、番組のウェブ配信などの既存メディアの変化は、最近のメディア環境の激変ぶりを物語っています。このようなメディア環境の変化において消費者はメディアをどのように使い分けて、接触しているのか、といった「消費者のメディア消費の捉え方」は、広告キャンペーン成否を左右する最も重要な要因として、今後企業のコミュニケーション活動の中心課題となるといっても過言ではありません。

今回ご紹介させて頂く研究論文は、こうした現状を踏まえて、メディアと広告との関係を解明するための一つの手がかりとして、それらに対する消費者の態度(評価とイメージ)の構造とその影響関係を提示しております。つまり消費者が持っているメディアへの評価とイメージがどのように形成され、広告への態度形成にどのような影響を与えているのかを明確にしたものです。

 

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消費者の意識調査を共分散構造分析という手法にかけました結果、メディアへの態度は、接触目的によって機能的なベネフィットを想定して接触する場合は「功利的態度」が、接触自体を楽しむ場合は「快楽的態度」が形成されることが分かりました(図表1)。

ここでいう「功利的態度」は「仕事や生活に役立つ情報」「世の中の出来事に関する情報」などの情報探索を目的とした場合に形成される態度であり、「快楽的態度」は「刺激」「息抜き」などを目的とした場合に形成される接触態度になります。広告への態度も同様な態度構造が確認されました。
(*注;上記の構造モデルにおいて、四角で示される変数が、データとして利用可能だったもの、また丸で示される変数が、データとしては存在せず、仮説としてあげた変数となります。なお各数値は変数間の影響の度合いを示します。)

さらにメディアと広告それぞれの態度の影響関係を明らかにするため、分析を進めた結果、メディアへの快楽的態度が功利的態度より、広告への態度形成により強く影響していることが分かりました(図表2)。こちらの結果については次のような解釈が出来ます。メディアへの功利的態度はメディア接触に明確な目的があった場合に形成されるため、その接触目的が達成できれば、接触をやめたり、それ以上の情報処理を行わなかったりします。一方、メディアへの快楽的態度は「メディア接触を楽しむ」ことが態度形成の源泉になるため、当該メディアに掲載された広告にも一定の態度が形成されやすいのではないかと考えられます。

 

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これらの分析結果は、これまで漠然と存在するだろうと認識された、消費者の意識の根底にあるメディアと広告に対する評価とイメージの構造を明らかにしたものです。

今回の研究は、メディア全体への態度構造、広告全般への態度構造に限定されたものでしたが、今後さらにメディア別、ビークル別、ターゲット別の態度構造の解明につなげていけば、メディア/ビークルの選定、或はそこに載せる広告メッセージの内容まで明確で具体的な質的基準となれることでしょう。

また、消費者とあらゆるメディアとの接点(接触ポイント)をマネジメントしようとする最近の取り組みにも大きなヒントになると考えております。

詳細な研究内容は、こちらの論文の全文をご覧になって下さい。また、上記の論文は、『媒体態度が広告への態度に及ぼす影響;メディアとメッセージとの関係を探る』という題目で、日経広告研究所報226号(2006年4月)に掲載されたもので、東京富士大学経営学部の広瀬盛一先生との共同研究によるものです。

文責:エスピーアイ

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