SPI REPORT

新商品の広告が既存商品に与える影響

"新商品を導入する際、既に市場に出ている自社商品にはどのような影響があるのだろうか?"

多くの企業で新商品を市場に導入する際には、目標シェアもしくは目標売上高を獲得する為に、広告活動を展開します。しかしながら、新商品のシェアや売上は、競合商品または、市場の拡大からによる獲得とは限りません。すなわち新たに広告を投下することにより、既に市場に出ている自社商品にも何らか形で影響を及ぼす可能性があります。特に類似品の場合は、悪いケースでは新商品のシェアは既存の自社商品から"食う"形で獲得する可能性もあります。反対に良いケースでは、新商品の広告を投下することによって、既存商品の売上が増加する事もあります。新商品が既存商品にプラスに働く事を"ハロー効果"と言い、反対に自社商品からシェアを奪うことを"カニバリゼーション"と言います。

新商品が目標シェアを獲得するのは重要課題ですが、自社商品からシェアを獲得してきては、全体の売上には貢献しないという事になります。今回ご紹介するのは、新商品の広告が既に市場に出ている自社商品にどのような影響を及ぼすのかを分析したケースです。

先ずは計量的アプローチを用い、ブランド全体、新商品、既存商品の3つの広告効果予測モデルを構築します。次に、新商品の広告が既存商品にどのような影響を与えるのかを予測します。今回のケースでは簡略化されたフロー(ブランド全体 - 既存商品 - 新商品 = 新商品が与える影響)の基に、各モデルの売上予測から新商品の広告が既存商品に間接的に与える影響を推定/算出しました。

 

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さらにこの概念やモデルを利用して、シミュレーションを行います。まず新商品に有効な広告フライトパターンを設定し、これを基に出稿があるケースとないケースでの売上予測を、既存商品に対しても行います。間接的に影響を受ける既存商品の場合、広告があるケースとないケースとの差が新商品(広告)から受ける影響と判断されます(図1)。今回のケースでは、新商品が広告を投下する場合、既存商品の年間売上が約11%減少する事が明らかになりました(図2)。つまり、カニバリゼーションが発生する事が分かりました。

 

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今回のケースでは、約11%の減少予測ということで、当該カテゴリーにおいては影響が大きいものと判断しました。そのため、新商品広告のフライトパターンを考慮する際には、既存商品に与える影響を重要視する必要がありました。今回のケースとは逆に、新商品の広告が既存商品にハロー効果をもたらす場合は、新商品の目標シェアを獲得するために最適なフライトを組めばよいのですが、カニバリゼーションを最小化して、自社商品全体の売上を考慮した新商品広告のフライトパターンを選択する必要がありました。

このケースで取り上げたのは、新商品の広告フライトパターンの最適化のみですが、シェアや売上に影響をあたえる広告以外の要因(季節性、競合環境、配下、etc.)も分析し、市場導入のタイミングや流通チャネルの使い分け等のマーケティング施策も合わせて検討することが、より有効に自社商品全体のシェア拡大につながると考えられます。

文責:エスピーアイ

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