SPI REPORT

ロシター・パーシーグリッドを用いたKPIの考え方

毎日新聞PR誌「SPACE」
広告効果の視点 (7)「ロシター・パーシーグリッドを用いたKPIの考え方」
小泉 秀昭

前号では、広告コミュニケーションの効果を測るためのキーとなるKPI(Key Performance Indicator)を特定するための手法として、「構造方程式モデル」を紹介しました。今回は、計量的な分析はあまり得意でない方のために、理論的な整理によりKPIに近づく方法をご紹介したいと思います。まず最も重要なことは、自社ブランドがどのような製品であるかを深く認識することです。言い換えれば消費者が自社ブランドを購入することを決定する時にどのようなプロセスで決定されるかを考えてください。コンビニに並ぶ飲料やお菓子を買う場合に消費者はあまり深くその商品のことを考えたりすることはないでしょう。一方、車などの耐久消費財を買う時は、パンフレットを集め、友人に聞き、実際に試してから購入を決定するわけです。このような考え方をマトリックス化して整理した一例が20年以上前にだされたFCBプランニング・モデルですが、ここで特に私がお勧めしたいのがRossiter & Percyのロシター・パーシーグリッドです。このグリッドはブランド再認と再生という二つのセルを持つブランドの認知と、製品を低関与/高関与と情報型/変換型で分けた四つのセルで構成されるブランド態度で分析を行っています。もともとは、広告戦略立案に大変役に立つ考え方ですが、KPIを検討する上にも大変参考になると私は考えています。最初にブランド再認と再生のお話をしましょう。認知はKPIになりうる重要な指標です。しかしそのブランドを知ってもらうということの意味もその製品、カテゴリーで大きく変わってきます。再認とは、売り場などで実際にパッケージなどを見た時に思い出せれば良いレベル。一方再生は、商品を見る前にそのブランド名が頭の中で浮かんでいることが必要な商品となります。

次にブランド態度、特に低関与の情報型/変換型について少しお話しします。情報型の製品とは、何かの問題を解決したいとか、完全に満足していない状況に対応するといったものです。低関与の製品の例で言えば、たとえば、カビ取り洗剤などがこれにあたります。

一方変換型ですが、感覚的な満足を与えてくれるもの、たとえば高級なアイスクリームやお菓子などがあげられます。それでは、低関与の製品で情報型と変換型ではどのようなものがKPIとなりうるのでしょうか。まず情報型では、簡単な問題とそれの解決ということの理解、すなわち1-2個のベネフィットを使用してそれがいかにターゲットとなる消費者に覚えられ、理解されているかが問題となります。逆に広告が好まれる必要はないわけです。広告の好意度を指標にする場合が多くありますが、この情報型の製品では広告の好意度をKPIとするべきではないことになります。それよりもベネフィットの理解度がKPIとなるわけです。変換型の場合には、機能的な訴えかけより、情動に訴えかける必要があるわけで、その表現は真実味がありユニークである必要があり、広告の好意度も重要な役割を持つことになります。したがって、「広告が信じられる」、「ブランドとのリンクができている」、「広告の好意度」などがKPIとなる場合が高いわけです。

今回は紙面の関係で十分な解説ができませんでしたが、ロシター・パーシーグリッドについては、『ブランドコミュニケーションの理論と実際』というタイトルで東急エージェンシー出版部より翻訳本がでていますので、ぜひ一読されることをお勧めします。今回は低関与製品についてお話をしましたので、次号では高関与の情報型/変換型のKPIの例をお話ししたいと思います。

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