SPI REPORT

広告効果測定のために

毎日新聞PR誌「SPACE」
広告効果の視点 (最終回)「広告効果測定のために」
小泉 秀昭

9回にわたり、広告効果の測定についてお話をしてまいりました。早いもので、今回が最終回となります。とかく実務でこのような仕事をしておりますと、自社のテクニックをブラックボックス的にお話することが多いと思います。ただし、この連載を読まれている皆さんは実際自分で広告効果の測定をされたいと思っていらっしゃる方だと思います。そこで、この連載ではあえて、ブラックボックス的な話は避け、また高度な計量的なテクニックも必要としない方法を極力述べてきたつもりです。なぜそのようなことを心がけてきたかと申しますと、広告効果の測定は1日の講義でできるものでもなく、また専門の会社に全てを任せれば良いというものでもないと思うからです。まず必要なことは、自分の行った広告活動の効果がどのくらいあったのだろうということに興味を持ち、それを少しでも明らかにしようとする気持ちを持っていただくこと、それが最も重要なことです。

また広告会社も含め、広告効果のプロを掲げる人たちも大勢いらっしゃると思います。ただし、その人たちよりは皆さんの方が自分自身のブランド、商品に対しての知識は、はるかに豊富なわけです。広告効果は全てのカテゴリー、ブランドで同じであるわけはありません。商品を買ってくださる消費者の皆様の気持ちもそして行動もそれぞれです。ですからまずは自分のお客様の気持ち、そしてどのような行動をとるのかを深く考えていただきたいと思います。そのことは、計量的な分析を否定しているわけではありません。これまで、広告の効果を売上などと共に分析することはタブー視されてきました。いまでも100%の精度で広告の売上への貢献度を明らかにすることは不可能です。しかし、コンピューターの処理能力の進歩、そして新しい分析テクニックは目覚ましいものがあります。ぜひそれらに興味を持っていただき、広告効果分析の面白さを味わって頂きたいと思います。

最後に今後皆さんが広告効果の勉強をされる際に役に立つ本を少しご紹介します。広告効果の理論的な分野では、『新広告心理』仁科貞文監修、田中洋、丸岡吉人著(電通)。また本連載でも取り上げた、『ブランド・コミュニケーションの理論と実際』ジョン・R・ロシター&ラリー・パーシー著、青木幸弘他訳(東急エージェンシー)が参考になると思います。

また計量的な分析に挑戦したいというのであれば、『MBAマーケティングリサーチ入門』上田隆穂他(東洋経済新報社)がサンプルソフトもついており、分かりやすいと思われます。ただし、本を読むだけではといわれる方には是非学会に参加されることをお勧めします。学会というと大学の先生方ばかりで敷居が高く感じますが、実務家の方が多く参加される学会もあります。たとえば、日本広告学会は実務家の会員も多く、月に一回程度、部会も行っています(各地区で開催回数は異なります)。また全国大会では数千円の参加費を払えば、一般の方でも著名な先生のお話を聞くこともできます。年会費も1万円程度とさほど高くはなく、是非入会を検討されてはいかがかと思います。広告学会の他にも消費者行動研究学会、日本マーケティングサイエンス学会などあり、いずれもホームページがありますので、是非一度ご覧になってください。

広告の効果を高めるということは、容易なことではありません。色々な研究がなされ、色々な機会があります。そのようなものを上手に活用して、粘り強く挑戦してください。それではこの一年、ありがとうございました。

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