SPI REPORT

III. 高度なメディアプランニングの必要性 (続き)

III. 高度なメディアプランニングの必要性 (続き)

一方、米国ではANA(米国広告主協会)の調査でメディア専門会社の取扱は2000年時点で8%、広告会社は83%となっています。これは、あくまで広告会社系のメディア専門会社が多いためにこのような調査結果となっていますが、実際の取扱金額に関しては、米国に関しても既に広告会社のメディアの取扱額をメディア専門会社が上回っている状況になっています。図表3は米国における主なメディア専門会社の一覧ですが、WPPグループのマインドシェア社(Mindshare)は既にメディアプランニング業務で日本に参入しており、今後ますます、メディア専門会社の位置づけがわが国でも重要なものになると思われます。

これらメディア専門会社の台頭の理由ですが、1つには広告主の少しでも安いメディアの購入欲求が働いたためですが、上述した新たなメディアの出現と消費者細分化による到達の難しさなどにより高度な広告メディアに関する知識ノウハウが要求されてきたことがあげられるでしょう。このことはメディアに関わることだけではありません。表現も含めより専門的な組織の台頭は目覚しいのです。言いかえれば中途半端な百貨店方式では顧客となる広告主は満足しない状況になっていると考えられます。以前であれば百貨店のような総合広告代理店に依頼すれば、広告表現の制作、メディアの購入、販促活動、調査など一通りのことは対応してもらえました。しかし、今日百貨店のビジネスが厳しいように総合広告代理店も厳しい状況を迎えています。これからの広告ビジネスではその分野に精通した専門会社、たとえばメディア専門会社やタグボードといったような表現のアイデアに特化した会社に広告主が直接依頼する時代に移って行くことが考えられます。一方、メガエージェンシーと呼ばれる巨大広告代理店グループはそのような専門会社を傘下に組み込む戦略を取りつつあります。

第4の数量的分析への広告主のニーズについてですが、昨今、広告のアカウンタビリティという言葉がいわれています。すなわち広告の説明責任ということです。景気の低迷で実務界では、実際100万円の広告を行って、どのくらいの売り上げが上がるのかという質問を会社の他部門から求められる宣伝部員は多いと言われています。日本の広告費の70-80%はメディアに関わる費用といわれています。このような大きなお金が動くメディアの業務にこれまであまりにも注意が払われてこなかったこと自体が不思議であるといわざるをえません。

第5の調査データの不足ですが、2003年末、日本テレビの視聴率問題が大きな社会問題となりました。この問題を考えるといくつかの原因が考えられます。1つは調査会社であるビデオリサーチのサンプル数が関東地区で600世帯と少ないことです。また以前はニールセンという他の視聴率を測定する会社がありましたが、視聴率データの供給業務からは撤退しており、現在はビデオリサーチのみが視聴率を行っているわけです。もちろん、サンプル数が多ければたとえ、買収工作を行ったとしても影響は少なく、またビデオリサーチ社以外の調査会社が存在することもプラス要因と言えるでしょう。しかしながら、別の見方をすれば現在、視聴率のみで評価を行っているメディアプランニングの存在も無視することはできないと考えられます。より高度なプランニングを行うことで、たとえ世帯の視聴率が低くとも企業の目的を達成するために有用なメディアな選択は行えるわけであり、その点から言っても高度なメディアプランニングが必要と言えるでしょう。但し、当然高度なメディアプランニングを行う上にも調査データは大変重要な役割を果たすわけであり、今後も広告メディアに関するデータの整備が望まれます。

図表3:2002年米国メディア専門会社ランキング(取扱金額 単位:百万USドル) (出所:Advertising Age (2003, April 21)を基本に新たに作成)
会社名 グループ 日本での提携 取扱高
1 Starcom Media Vest Worldwide Beacon 3 Beacon Communications 10,850
2 Mindshare WPP アサツーDK, JWTJ, O&MJ 8,650
3 Initiative Media Worldwide Interpublic McCann-Erickson, 大広 8,400
4 OMD Worldwide Omnicom I&S/BBDO 7,750
5 Universal McCann Interpublic McCann-Erickson, 大広 7,100
6 Zenith Optimedia Group Cordiant Communications 読売広告社 7,000
7 Media Edge: Cia Worldwide WPP 電通Y&R 4,660
8 MediaCom Grey Worldwide I&S/BBDO 4,200
9 Carat North America Aegis 独立系、中央宣興 4,320
10 PHD Omnicom I&S/BBDO 3,670

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