SPI REPORT

米国の広告ビジネスにおけるコンサルティング業界の事情

長期的な景気の低迷が続いている米国で、コスト削減は企業の経営戦略の一つの軸として位置付けられており、巨額の支出を伴う広告費においても費用対効果の意識が一層高まっています。こうした現状は、広告会社からのサービス仕入れに対する(サービス)購買部の参画、或いは専門コンサルタントの採用といった形として表れています。

このような米国の広告業界の動きに関して、今回は(1)これら専門コンサルタントの種類及び業務の内容、および(2)グローバル規模のコンファレンス情報(AdForum.comのWORLDWIDE SUMMIT)をご紹介いたします。


米国の広告業界のコンサルタントには、大きく広告会社選定などへのアドバイスを行う「サーチ・コンサルタント」と広告会社への報酬・対価へのアドバイスを行う「コンペンセイション・コンサルタント」の二つのタイプがあります。

「サーチ・コンサルタント」は、アカウントを担当する広告会社の選定や、ブランド扱いを決める競合コンペンティションにおいて、広告主の代行としてオリエンテーションやプレゼンテーションに参加し、このコンペンセーションを取り仕切ることが主な業務です。

具体的には、「(1)審査プロセス(審査要綱を記載した提案依頼書と審査スケジュール)の策定」「(2)アカウント審査対象広告会社の選定」「(3)審査プロセスへの参加、アドバイス」「(4)審査ツールの開発・提供」などです。

また、「コンペンセイション・コンサルタント」は、広告にかけるコストが適正かどうかを判断するために、仕入れのプロである購買部などと連携して、広告会社との交渉にあたることが主な業務です。

このようなコンサルタントの台頭は、広告主にとってコスト削減及び効率化に対する最も合理的な意思決定のために「高いレベルの情報力」が不可欠であり、これを外部に委託するようになったことが理由として考えられます。


本日ご紹介するAdForum.comは、これらの情報を提供する専門会社(ウェブサイト)の一つです。AdForum.comはグローバル規模のエージェンシー情報(18,000エージェンシー)とメディア別の広告素材(50,000個のクリエイティブ素材)情報などを世界各国の広告主に提供しています。このAdForumが広告主、エージェンシー、広告関係のコンサルティング会社などの情報交換の場として提供しているのが ADFORUM WORLDWIDE SUMMITで、毎年最も話題性のあるテーマが取り上げられます。

2002年度から毎年行われているサミットでは、アカウントのグローバル化、エージェンシーの合併、サービスの統合に関して焦点を当てたセッションが設けられ、3者が情報交換や商談のために利用しています。


また、グローバル規模でコミュニケーションを展開する広告主に対し、ここ最近ではグローバル広告マネジメントがテーマとして取り上げられ、ネットワークと拠点(ハブ)をどのように形成するべきかが議論されました。さらにグローバル化における広告主とエージェンシー間のコミュニケーション統一の問題も提示され、ワークショップの開催が最も有効な手段として挙げられました。


このような動き中で、広告主のコスト削減・効率化が、コンサルタントの業務ミッションになっているために、客観的な指標を重視するようになり、アイディアの均一化や類似化が起こりかねず、コミュニケーションが成果に結びつかない、といった懸念材料があることも現実です。

ただし、ニューヨークの調査会社の2003年の調査によれば、年間広告予算が1000万ドル以上の米国企業273社中29%が、専門のコンサルタントを採用していると答えていることなどから、米国の広告ビジネスにおいて大きな流れであることは間違いないかもしれません。


本稿は、「ブランドと広告ビジネス:ブランディングを基軸とした広告会社の評価システム(東英弥著, 2005, 早稲田大学出版部)」とAdForum.comのウェブサイトを参考に作成したものです。

文責:エスピーアイ

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