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時代と共にどんどん変容していく、ソーシャルネットワーキングサイトと私たち日本人の関係を明らかにしていこうというこのシリーズにおいて、第一弾では日本人全体におけるSNS利用状況について触れました。 今回第二弾では日本人のSNS接触時間の調査及び「ソーシャルネットワークがないと困る」、いわゆる「SNSが大好き!」という人たち(以下「SNS大好き層)について色々な角度から調査を試みました。
1, SNS接触時間の年度比較~SNSユーザー、及びSNSヘビーユーザー、共に増加~
まず、SNSユーザーを、利用時間別に分類し、についてその全体像を2012年vs2011年で比較しました。
*使用設問:あなたの平均的な平日や週末を思い浮かべて下さい。その上であなたは、下の各メディアに一日何時間使っていますか?
…(Facebookなどの)ソーシャルネットワークをみる・使う(あらゆる機器を含む)
*各ユーザーの定義(1週間合計の接触時間別)
・Never=接触時間無し
・ライトユーザー=7時間未満(1日1時間未満)
・ミドルユーザー=7時間以上20時間未満(一日2.8時間未満)
・ヘビーユーザー=20時間以上(一日2.8時間以上)
こうしてみると、2012年は2011年に対し、「Never=SNSをやらない」層が17%も減少し、「SNSを利用している」層が2011年の約半分から2012年は約7割まで20%程増加したことが分かります。
ライトユーザーは約8%増、ミドルユーザーとヘビーユーザーは約4%増となっています。
全体的にどのユーザー層も着実に増加傾向にあるのが見てとれます。とりわけ、「ヘビーユーザー」については3%から7%へ、実に2倍以上も増加しています。第一弾でも触れましたが、週に50時間以上、すなわち一日に7時間以上もSNSを利用しているユーザーも着実に増えてきているということです。
次に、「SNS大好き層」に関する分析を行います。
*「SNS大好き層」の定義:設問「ソーシャルネットワークがないと困る」にどの程度当てはまりますか。
→「はい」と答えた人
**「はい」以外の回答は「それ以外の層」と設定
まず、このターゲット=「SNS大好き層」において、それ以外の層との比較をライフスタイル、価値観において行いました。
設問項目 | SNS大好き層 vsそれ以外の層 |
毎日できるだけたくさんの予定を組む。 | 225.6% |
最新のファッションブランドやスタイルを買う。 | 204.7% |
パーソナルケア用品にたくさんのお金を使う。 | 196.9% |
自分は最新テクノロジーのエキスパートだと思う。 | 195.5% |
自分が購入するブランドを周りの人に認めてもらいたい。 | 189.4% |
自分の洋服にけっこうたくさんのお金を使う。 | 189.1% |
有名なブランドの商品だけ購入する。 | 184.3% |
周囲の誰よりも早く流行に気付く方だ。 | 182.5% |
他の人より友達が多いほうだ 。 | 182.0% |
自分はスタイリッシュな人間だと思う。 | 177.9% |
周りの人のリーダーとなるのが好きだ。 | 173.9% |
常に新しいブランドを試したい。 | 169.9% |
地元コミュニティーの問題に、積極的に関与している。 | 168.7% |
私は野心的な人間だ。 | 166.1% |
パーティーは大好きだ。 | 164.4% |
リスクテイカー(リスクを負う人)だと思われている。 | 164.4% |
できるだけフェアトレードの製品を購入する。 | 164.2% |
時間を節約するためにお金を使うことをいとわない。 | 163.4% |
自分の好きな有名人が使っていたり・宣伝している商品は買ってみたいと思う | 162.1% |
自分の人生で一番大切なものは、友達だ。 | 160.9% |
専門家によって支持されているブランドや商品を信用しがちである。 | 159.7% |
考えずにお金を使う傾向がある。 | 159.1% |
家でおもてなしをすることがよくある。 | 158.2% |
映画に関してはうるさい方だ。 | 157.0% |
大手のスーパーマーケットよりも、近所の小売店で買い物をするほうが好きだ。 | 156.6% |
イベント協賛している企業により好感を抱く。 | 155.8% |
友達といっしょに何をするかを決めるのはたいてい自分だ。 | 151.4% |
退屈していることが多い。 | 150.3% |
上から順に、“SNS大好き層vsそれ以外の層”の回答比率になっています。
「毎日たくさんの予定を組む」「他の人より友達が多い」「地元コミュニティの問題に積極的に関与している」「パーティーは大好きだ」など、とても社交的でアクティブに動き回っている、フットワークの軽い人物像が浮かび上がります。加えて、「最新のファッションブランドやスタイルを買う」「常に新しいブランドを試したい」「自分は最新テクノロジーのエキスパートだと思う」「自分はスタイリッシュな人間だと思う」など、新しい物事にとても鋭敏な感覚をもっているのが覗えます。と同時に、「自分の洋服にけっこうたくさんのお金を使う」「考えずにお金を使う傾向がある」「時間を節約するためにお金を使うことをいとわない」など、お金を使うことにあまり慎重ではなく、特に容姿を気にしているためか、美容や自己投資のお金などはためらわずに出資できるようです。また、お金を使う際にどの程度広告やブランドイメージが関与しているのかも気になるポイントですが、「有名なブランドの商品だけ購入する」「自分の好きな有名人が使っていたり、宣伝している商品は使ってみたいと思う」「専門家によって支持されているブランドや商品を信用しがちである」など、他者が「SNS大好き層」の購買活動に与える影響も多大であると言えます。
また、この「SNS大好き層」が頻繁に行く場所や外出行動についても下図の通り調べてみました。
設問:どれくらいの頻度で、下記の場所へ行きますか?
回答:週に1回以上
「SNS大好き層」が「それ以外の層」よりも最も高い数値が出たのは「美容室、理容室」でした。ついで「ジム、ヘルスクラブ、レジャーセンター」、「バー、居酒屋、クラブ」となっています。「それ以外の層」に比べて、「SNS大好き層」は身だしなみやおしゃれが最先端であることが重要なようなので、美容院や、シェイプアップのためのジムなどで高い数値となったと考えられます。バー、居酒屋、クラブなどでの交流に使うお金も、彼らにとっては必要な出費なのでしょう。
では、最後に、「SNS大好き層」がこういった外出をする際に、外出先の広告はどのように影響しているのかをみてみたいと思います。
設問:「外出した時に目にする広告に関して、どれくらい当てはまりますか?」
回答:「はい」と答えた人
「SNS大好き層」のほうが、外出先の広告に関してはとても敏感に反応していることが分かります。普段街中で目にする広告への興味関心が、「それ以外の層」よりも1.5倍高く、約半数以上の人が「ポスターなどの広告のおかげで、普段通る道が楽しくなる」と答えています。
また、いつも通る場所の広告が変わっていないか、注意してみている人も、「SNS大好き層」は「それ以外の層」比べて1.7倍多いことがわかりました。
同様に「SNS大好き層」は宣伝内容にも注意を払ってみている人が半数以上と、2人に1人以上はポスター等の広告宣伝の訴求が行き届いていると言えると思います。
では、「SNS大好き層」の興味関心を最もひく広告とはなんでしょうか?
ランク | いつもチェックしている広告 | SNS大好き層 (「はい」 回答率) |
SNS大好き層 対それ以外層 (「はい」回答率) |
1 | スーパーマーケット | 17.9% | 1.2倍 |
2 | コンピューターハードウェア(パソコン、ラップトップ、タブレット) | 17.6% | 1.5倍 |
3 | 映画、映画館 | 17.2% | 1.6倍 |
4 | 洋服、ファッション | 15.5% | 1.7倍 |
5 | 電気製品 | 14.7% | 1.5倍 |
6 | 音楽 (CD、 mp3など) | 14.6% | 2.3倍 |
7 | 携帯電話 | 14.5% | 2.3倍 |
8 | ゲーム機とゲームソフト | 13.5% | 1.9倍 |
9 | ホリデー、旅行 | 12.4% | 1.6倍 |
10 | アルコール飲料・酒類 | 11.4% | 1.9倍 |
11 | 美容 | 11.2% | 2.3倍 |
12 | 車 | 11.2% | 1.6倍 |
13 | DVD、ビデオ | 11.1% | 2.1倍 |
14 | ソフトドリンク | 11.1% | 2倍 |
15 | レジャー活動、娯楽 | 10.5% | 1.7倍 |
16 | 健康的な生活、ダイエット、運動 | 10.5% | 1.9倍 |
17 | ホームショッピング、通信販売 | 10.2% | 1.7倍 |
18 | 加工食品 | 8.5% | 2.2倍 |
19 | 公共サービス | 8.4% | 2.1倍 |
20 | 子供の玩具、子供服 | 6.7% | 2.4倍 |
最も「いつもチェックしている」広告は「スーパーマーケット」が1位でしたが、「それ以外の層」との比較においてもスーパーマーケットは高い割合を占めていることから、さほど大きな特性ではなさそうです。一方、「音楽」「携帯電話」や「美容」が「それ以外の層」に比べて2.3倍多く、「SNS大好き層」の特性を表していると言ってもいいでしょう。流行や身だしなみ、おしゃれに人一倍敏感で常にリーダーシップを取っていたい傾向にある「SNS大好き層」ならではの興味関心と言えそうです。
いかがでしたでしょうか?
次回も引き続き弊社/弊グループ独自消費者データベース「CCS」にての調査分析を行っていきたいと思います。
より詳細な情報をお求めの方は、spiindex@spi-consultants.netまでご連絡下さい。