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エスピーアイ独自調査レポート:「海外と日本のメディア接触状況」

*CCSとは:
・SPI所属Aegis group独自調査、世界各国で実施
・CCS2012=日本は県別調査/6,000サンプル

【2013年6月分析】「海外と日本のメディア接触状況」

これまでのレポートでは、CCSを使って日本人を取り巻くメディア事情について触れてきましたが、 今回は日本だけではなく、弊社の保有する独自の調査であるCCSの特色を生かして、 海外のメディア接触事情にも視野を広げて調査を試みました。そしてその結果見えてくる、 日本と海外とのメディア接触環境の違い、海外における「日本」のメディア接触状況の特色についても考察してみました。

1, 5大メディアの各地域接触状況

今回は、日本を含めた、イギリス、香港、オーストリア、オーストラリア、ロシア、アメリカ、スペイン、イタリア、ドイツ、フランスの計11地域の中でどれだけ TV、ラジオ、雑誌、新聞、インターネットに触れている人がどのくらいいるのか、メディアごとにその接触時間を調べてみました。

*各メディア別、「よく接触する人(よく見る人/聴く人、等)」の定義
1週間における各メディア別の接触時間を4段階に分け、接触時間の長い上位2層、とした。

まずはTVの接触状況から見てみましょう。
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「TVをよく見る人」の割合が最も高かった地域はオーストリアでした。反対に、最も低かった地域はアメリカでした。 結果をみると、いずれの地域も平均の65.2%を大きく外れることもなく、地域によってさほど大きい違いはなさそうです。 TVの影響力と各地域への浸透具合が窺い知れる結果といえるでしょう。

次に、ラジオの接触状況を見ましょう。
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「ラジオをよく聴く人」の割合が最も大きかったのはドイツ(67.4%)、次いでアメリカ(63.7%) そして最も小さかったのは日本(27.9%)でした。とりわけ日本に関しては、 他地域の割合が平均56.9%に対して軒並み50%以上を占めているのに対し、日本だけ27.9%と、 非常に低い値となっています。ラジオの文化的背景が国や地域によって様々に異なっているのはもちろんのこと、 日本ではもともとラジオ局の数自体が少なく、他の文化圏ほどラジオ文化が浸透・発展していないのも一因にあるのかもしれません。

次に、雑誌です。
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雑誌に関しては、TV、ラジオに比べると地域によってかなりバラつきが見られます。 平均の55.8%を上回っている地域は、イギリス、香港、オーストリア、日本、ロシア、イタリア、ドイツでした。 反対に、下回っているのはオーストラリア、アメリカ、スペイン、フランスの4地域でした。 その中でも、オーストラリアは39.0%と、アメリカ、スペイン、フランスに比べても最も割合が低い結果となりました。

そして次に新聞です。
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新聞に関しては、平均の54.8%を20%近く上回る72.4%で日本がトップとなっています。 次いでオーストリア(66.7%)となっています。反対に最下位はフランスで37.2%、次にアメリカの42.3%です。 日本では新聞文化が根強く、定期購読の契約をしている世帯が非常に多いのも一因と言えるでしょう。 その結果、朝刊、夕刊など新聞に接する時間が他に比べて多い傾向にあるのかもしれません。 また、平均の54.8%を上回ったのはイギリス、香港、オーストリア、日本、スペイン、イタリアの6地域ですが、 平均より下の地域も同程度あり、非常に地域によってばらつきが出た結果とも言えるでしょう。

最後に、インターネットです。
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「インターネットをよくする人」の割合は、ロシアがもっとも多く、71.2%と高い数値を示しています。 次いでアメリカが67.6%となっています。平均の57.6%に満たないのはイギリス(40.1%)、オーストリア(45.9%)、 日本(54.0%)、ドイツ(56.6%)、フランス(53.9%)の5地域です。中でもイギリスの割合は40.1%と、 平均を17.5%も多く下回っています。トップのロシアとは30%以上も開きがある状態です。

2. 地域別メディア接触状況の足し上げ

下のグラフは、これまでの各メディア別グラフの数値=よく接触する(見る/聴く、等)人の割合、を、地域別に足し上げたものです。

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各地域の平均値を見ると、この11地域の中で一番「よく接触する人」の割合が高いメディアはテレビ(65.2%)です。次いで、インターネット(57.6%)となっています。テレビがやはりメディアとして圧倒的に強い影響力を持つ中、次に影響力をもつメディアは今や、ラジオでも新聞でも雑誌でもなく、インターネットになりつつある、ということでしょう。 次に、各メディアの数値を見ると、全体的にメディア接触率が高い地域、低い地域がわかります。一番メディア接触率が高い地域は香港で、反対にこの11地域の中で比較的メディア接触率が低いのはフランスであることが分かります。さらにこうして見ると、11地域の中の日本のメディア特性に気が付きます。テレビは他地域と比べ、多少の開きはあれども、さほど値に変わりはありません。ラジオは著しく低い値(27.9%)を示しており、他地域に比べて日本ではさほどラジオが影響力をもつメディアではない一方、雑誌と新聞に関しては全体(282.8%)の約5割(134.5%)を占めており、日本における紙媒体はまだまだ強い影響力をもつメディアが分かります。

3.まとめ

今までのメディア別のグラフの上位3地域を、下記表にまとめてみました。

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メディアごとに「よく接触する人(よく見る人/聴く人、等)」が占める地域は様々ですので、 海外への広告展開等を考える際にも、各地域のメディア特性が当然のことながらヒントとなり、 これをさらに性年齢別、職業、年収、学歴、価値観等で切った対象の調査・分析が必要になってくるでしょう。

いかがでしたでしょうか?
今回は世界11地域のそれぞれのメディア接触状況を明らかにしながら、その特性を見てきましたが、 それと同時に「世界の中で見た」日本のメディア特性というものが少しずつ見えてきました。 日本にいると当たり前のメディアとの関わり方が、少し視点を変えて外から見てみると特殊で面白いものに見えてきます。
次回も引き続き弊社/弊グループ独自消費者データベース「CCS」にての調査分析を行っていきたいと思います。

文責:渡辺あゆみ(PR主任)&小久江士郎(シニアコンサルタント)

より詳細な情報をお求めの方は、spiindex@spi-consultants.netまでご連絡下さい。

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